幼少期に、親から十分な愛情を得ることなく育った子どもは、どうしようもない寂しさを抱えて生きることになり、
こうした子供は、その寂しさを埋めるために、いつしか嗜癖(しへき)にすがるようになるそう。
アルコール、タバコ、ギャンブル、万引き・・・。
ワタシはアダルトチルドレンだけれど、嗜癖にすがるほど心の傷が重症化していなかったのか、どこかで歯止めがきいていて、
アルコールを飲んでも飲まれることはなく、タバコを吸っても1日数本程度で、ギャンブルをしても趣味にとどまり、万引きは生涯で1度きりと、嗜癖の深みにはまることはなかった。
身近にいたアルコール依存の大人たち
ワタシの家族には、お酒に飲まれる大人が四人いた。
父方の祖父、父、母方の伯母、3歳下の妹。
父方の祖父は、お酒の飲み過ぎで脳梗塞になり、ワタシが小学校5年生の時に71歳で他界した。
ワタシにとっては、優しい祖父だったが、いつもお酒の匂いをぷんぷんさせてほろ酔い状態だったことを今でも覚えている。
ワタシの父は、飲むと家族に暴言を吐いたり、人が変わったようになるけれど、酔っぱらった時の言動や行動は、翌日になると何も覚えていない。
母方の伯母は、とにかくお酒に飲まれる人で、父と同じく毒を吐きまくるので、周りの人は常に嫌な思いをさせられる。
3歳下の妹は、お酒を飲み過ぎた時に限り、父や伯母と同じお酒の酔い方をして周りの人に毒づくことがある。
ワタシは、この四人には共通点があると思う。
父と伯母に共通する幼少期のトラウマ
父や伯母は、厳しい父親と、そんな父親に従順な母親に育てられた。
戦後の昭和という時代。子供の意思よりも家族全体の安定、子供の意思よりも家長の意思が絶対優先な時代。
両親は、家族をやしなうことで精一杯で、子供の気持ちを考える暇などなかったのだろう。
愛情や優しい言葉をくれない代わりに、自分の厳しい要求ばかり押しつけてくる両親。
自分を認めてくれず、否定的な言葉ばかりかけてくる両親。
父と伯母が、どうしよもない寂しさを抱えることになった理由が何となくわかる気がする。
アルコールでしか解き放たれない本音は寂しさであふれている
幼少期に、
親にまっすぐな愛情を注いでもらえなかった寂しさ。
あるがままの自分を認めてもらえなかった悔しさ。
自分らしく生きることが許されなかった悲しみ。
もう誰からも愛されないのではないかという絶望感。
こうした気持ちが、お酒に飲まれて酔っぱらった四人の口から次々と飛び出す。
たとえお酒の席でも、暴言を吐いて他人を傷つけたり迷惑をかけたりするのは悪いこと。
でも、どうしてお酒に飲まれてしまうのか、どうしてお酒を飲むと人が変わるのか、どうして酔っぱらうと本音が出てしまうのかを、
本人や周りの人が少し立ち止まって考えることができたら、もしかしたら、その人が救われるきっかけになるのかもしれない。