ワタシは、昔から自分の気持ちを伝えるのが苦手だった。
何か悪いことをして親に問いつめられると、ワタシはいつも黙りこみ、その時間が過ぎ去るのをじっと耐えて待った。
自分の頭の中では、言いたいことがグルグルと回っているのに、色々考えすぎて自分でも何が言いたいのかがわからなくなり、結局、何もかも自分の心の中に閉じ込めてしまう。
ワタシのこうした性格は、アラフォーになった今でもあまり変わらないが、
ワタシが、自分の素直な気持ちを相手に伝えられずに我慢してしまう理由は、自分が傷ついたり嫌われたりするのが怖いからなのだろう。
母に伝えられなかったワタシ
ワタシは、中1の冬に初潮をむかえた。
忘れもしない。ワタシが13歳になる誕生日の月。
保健体育で習ったからか、友達から聞いていたからか、女子にはいつか生理がくることは知っていたが、ワタシは、生理がきたことをなぜか母に言うことができずにいた。
自宅のトイレに置いてあった母親の生理用ナプキンをこっそり使い、初めての生理は乗り切ったと記憶している。
でも、そのうちトイレのナプキンが底をついた。
それでも、ワタシは、母に生理がきたことを伝えることができず、トイレットペーパーを何枚も重ねて、それをナプキン代わりに使った。
そのうち、ナプキンの減りが早いことに気づいた母が「生理きたの?」と聞いてくれて、ワタシはようやく母にその事実を伝えることができたのだ。
自分の気持ちを素直に伝えられないとその後に待つのは地獄だけ
自分の気持ちを、素直に伝えることが苦手だったワタシ。
誰かにすごく嫌なことをされた時、相手を無視したり、相手との関係を急に断ち切ったりすることしかできなかった。
でも、そんなことをした時は必ず、その後何年も続く地獄の苦しみが待っていた。
その地獄の苦しみとは、
- 相手にされた嫌なことが忘れられない
- 自分の気持ちを伝えられなかった後悔の念が残る
- 相手を無視した罪の意識が頭から離れない
というもの。
相手を責めたてる言葉、自分が本当に言いたかったこと、自分の言い訳・・・。
そんな言葉が、いつまでも頭の中をグルグルと巡る。
ワタシが自分にかけたその呪いは、ワタシの身体が、その嫌な相手から物質的に離れるまで続くのだ。
相手に、自分のことをわかってもらいたかった。
ただ、それだけのために。
言いたいことが言えなかったワタシを変えた結婚生活
他人に、言いたいことが言えない苦しみと葛藤。
それは、ワタシが機能不全家族に育ち、父や母に、自分の言いたいことを主張する機会を与えられなかったからだろう。
そんなワタシの結婚生活は、今月めでたく10周年を迎えたが、自分でも奇跡としか言いようがない。
結婚当初から、夫に言いたいことを伝えられなかったワタシは、我慢に我慢を重ねて心の限界がくる度に、夫に対して泣き叫び暴れた。
それを言っちゃあおしまいよ。
というような、夫本人のことだけでなく、夫の家族のことまでののしりけなしたこともあった。
ケンカをすると必ず「離婚だ!」と白黒はっきりつけたがるワタシを相手に、夫は常に曖昧(グレー)だった。そして、一度も離婚に応じることはなかった。
こんなワタシでも、100%受け止めてくれる人がいる。ワタシを嫌いにならないでいてくれる人がいる。
ワタシは、あるがままの自分でいてもいいのかな?
愛情がいつも保障されている家族に育っていたら、素直でまっすぐな心で、自分も他人も愛することができたのだろうか。
ワタシは、自分の気持ちを相手にうまく伝えることが相変わらず苦手だが、
夫との壮絶なコミュニケーションの練習のおかげか、夫の愛情のおかげか、前よりは冷静に他人と向き合えるようになった。
自分の気持ちを我慢せず、自分の気持ちから逃げず、どんな形でもいいからとにかく相手に自分の気持ちを伝えていこう。
言いたいことがグルグルと渦巻く、アリ地獄のような感情のワナに二度と落ちないために。