機能不全家族で育ったアダルトチルドレンだと知った時、ワタシは、健全で幸せだと信じて疑わなかった自分の家族が、ガラガラと音をたてて崩れていく絶望を経験した。
それから2年ほどは、気がつけば泣いて過ごした。
なぜなら、どんなにひどい家族でも、ワタシにとってはいつだって心の拠り所であり、大好きな家族だったから。
そんな大切な家族が自分の生きづらさの原因だったなんて、ワタシはこれから何を信じて生きていけばいいの?
その時、すでに結婚をしていたワタシだったが、夫の元に嫁ぎ、夫との新しい家庭の中で生活しながらも、
心の中では、自分はまだ両親と妹たちがいる家族の一員で、不安定な家族を支える頼りがいのある長女なのだという意識を強く持っていた。
だからこそ、自分の居場所を失ってしまったという喪失感に押しつぶされてしまったのだ。
アダルトチルドレンを育てる過程で見つけた小さな頃のワタシ
ワタシは、自分がアダルトチルドレンだからといって、いつまでも絶望してるわけにはいかなかった。
なぜなら、あの頃のワタシは、幼い二人の子供を育てながら仕事もしていたからだ。
生きづらい人生を変えたい。
そんな強い思いを胸に、ワタシは、アダルトチルドレンを克服するためのワークブックを買い、自分でできる限りのことをしようと心に誓った。
そのワークブックの中に、目を閉じて、心の中にひそんでいる子供の頃の自分を見つけるというワークがあった。
子供のワタシなんているわけないじゃん・・・。
と思いながら目を閉じたワタシ。すると、7、8歳ぐらいの女の子が目の奥にたたずんでいた。
ワタシは、自分でも驚いたことに、子供の頃のワタシとすぐに対面することができたのだ。
小さな頃の自分と向き合いその小さな声を聞いてあげることの大切さ
ワークの最終地点。
それは、心の成長が止まってしまった、心の中にいる小さな頃の自分を大人へと育て上げること。
そのために、小さな頃の自分と対話をする。
小さな頃の自分が感じた辛かったこと、悲しかったこと、寂しかったこと、悔しかったこと。その全てを今の自分が聞き、優しくなぐさめてあげる。
それを繰り返すうちに、小さな頃の自分は、自信と安定を取り戻し、大人へと成長することができるそう。
ただ、ワタシにとって、このワークは本当に辛いものだった。
小さかったワタシの小さかった心が、あんなにも沢山の寂しさを抱えていたなんて・・・。
小さな頃のワタシも、大人になったワタシも、両方とも自分自身。だからこそ、気が狂いそうになるほどしんどかった。
それでもワタシは、自分の親たちのように、小さな頃のワタシを見放すことは決してなかった。
小さなワタシに会えなくなった日
一冊のワークが終わり、実家の機能不全家族とも距離をおくようになり、ワタシは平穏な日々を取り戻しつつあった。
あれから約6年。
最近、ふと目を閉じてみると、小さな頃のワタシが心の中にいないことに気がついた。
自分と向き合い、自分のあり方について色々と試行錯誤を繰り返してるうちに、子供のまま成長が止まっていたワタシの心は、いつしか実年齢に近い状態に育ってくれたのかもしれない。
今でもたまに、子供のような癇癪(かんしゃく)を起こすこともあるが、少しずつ感情をコントロールできるようにもなってきた。
でも、ワタシは、小さな頃のワタシを忘れるつもりはない。
小さな頃のワタシが、思い出の中で心から笑っていてくれる。それが、ワタシが一番望んでいることなのだから。