ワタシは、機能不全家族で育ったアダルトチルドレン。
長女だったワタシは、物心ついたころから、いつ崩壊してもおかしくない我が家の安定をはかる監視役だった。
今思えば、誰に頼まれたわけでもなく、そうならざるを得なかったように思う。
親の顔色を常にうかがいながら育ったワタシは、他人のちょっとした仕草や言動に非常に敏感な子供に育った。
親に対して、子供はこうあるべき。
家族から押し付けられてきた「こうあるべき」という無言の圧力は、いつしか、ワタシという人間はこうあるべきという形に姿を変えて自分自身を縛るようになった。
ワタシはもっと”美人であるべき”という呪縛
ワタシは、自分の外見が今でも大嫌いだ。
笑うと歯茎が見える口元、小さな胸、20代後半から増えてきた白髪、猫背・・・。
こんなことを言うと意外かもしれないが、ワタシは168センチのヤセ型で目が大きく、周りから美人だ、モデルみたいだと昔からちやほやされて育った。
でも、アダルトチルドレンとして育ち、性格がひねくれまくってしまったワタシは、そうした言葉を全てお世辞として受け流し、素直に受け止めることはなかった。
それどころか、
ワタシは歯茎や胸のせいで完璧じゃない不完全人間。きっと、みんなそう思っているに違いない。
と信じて疑わなかった。
結婚をして、外見コンプレックスを少しは克服したものの、未だに笑っても歯茎の見えないキレイな歯並びの口元や、大きな胸への強い憧れを捨てきれないでいる。
ワタシはもっと”大人であるべき”という洗脳
ワタシの中には、もう一人のワタシが住んでいる。
本物のワタシは、アスペルガー症候群という発達障害を抱えていて、どちらかというと子供っぽくて感情的だが、もう一人のワタシは世間体や”こうあるべき”をいつもワタシに押し付けてくる。
「どうしてあなたは、すぐに感情的になるの?」
「どうしてあなたは、そんなくだらないことにこだわってばかりいるの?」
「どうしてあなたは、他人に優しくできないの?」
「もっと、大人になりなさい」
もう一人のワタシは、斜め上から監視役のようにワタシを四六時中見下ろしていて、ワタシが失敗したり落ち込んだりする度に、ワタシを励ますどころか、
「お前はダメ人間だ、お前なんか最低だ、お前なんか死んでしまえ」
と責めたてる。
自分に一番厳しかったのは監視役のワタシ、つまり自分自身。
自分に厳しく、自分を受け入れられないワタシが、他人に優しくできるはずがなかった。
ワタシはもっと”完璧な人間であるべき”という葛藤
監視役のワタシは、つねに完璧であることをワタシに要求しつづけた。
完璧になれないワタシと、完璧を求めるワタシ。本物のワタシはどっち?
ワタシは、どっちのワタシを信じればいいの?
子供の頃、親から自然に植え付けられた”こうあるべき”という理想の自分。
でも、自信がもてない人間の理想がどれほど高く果てしないものか。
理想の自分に近づくことすらできないと気づいた時、ワタシには絶望しか残らなかった。
20代前半に、早々と理想の自分を見失ったワタシは、運命の赴くままにただただ生きてきた。
仕事を、結婚を、人生そのものを、色々な理由を後付けしながら。
理想の自分を失った後も、ワタシは、事あるごとにワタシに心を乱された。
あの時はこうすればよかった、あの時はああすればよかったと、頭の中でワタシとワタシの答え合わせが始まる。
そして、答え合わせの後は、全てのものへの漠然とした罪悪感だけが、ワタシの心に黒く漂い続けるのだ。
敵は自分!監視役のワタシと戦い続けるワタシ
自分が発達障害だと自覚してから、自分への信頼を取り戻せるようになったワタシ。
あるがままでいい。どんなに不完全な人間でもこれがワタシ。
これでいいのだ。
そう思えるようになってから、ワタシの中のワタシは勢力を失い始めた。
ワタシは、どんな時だって自分が好きなワタシになれる。
でも、それは決して、昔に目指していたような完璧で理想的な人間ではなく、ワタシが心から信頼できる自分。
今でも、ワタシがたまに顔を出すことがあるが、ワタシがワタシを責めることはない。
ワタシは、ワタシの言い分をとことん聞き、ワタシと対話し、ワタシが納得するまで説得する。
ワタシは、ワタシの言いなりにはならない。ワタシは、ワタシが求める人間にはなれない。
ワタシは、自分がなりたいワタシになるのだから。
いつしかワタシとワタシが和解して、ワタシがワタシと融合して消えていくことを願っている。
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